会社への出資はお金に限られるものではありません。貸借対照表上の資産に計上できるものであれば「物」も出資することができます。
つまり、資本は何もお金に限らず、物であっても構わないのです。これら金銭以外のものを出資することを「現物出資」といいます。
現物出資の決まり
現物出資財産が500万円以下のケース
定款に「出資する物」、「出資する人」、「出資する物の価格」を記載します。また登記申請するまでに、目的物を個人から会社に譲ったことを示す、「財産引継書」を作成する必要があります。
現物出資財産が500万円以下のケースは、比較的手続きが簡単ですので、よく使われる手法です。
現物出資財産が500万円以上のケース
現物出資額が500万円以上の場合は、別途、裁判所の選任した検査役や弁護士や公認会計士などの法律で決まった専門家に出資した物の「価格の調査と証明」をしてもらう必要があります。
これは、時間も掛かり、手続きも煩雑なのであまりお勧めいたしません。(弁護士などの専門に調査を依頼する場合、かなりの費用がかかります)
現物出資Q&A
Q1:現物出資できる物は、具体的にはどんなものですか?
A:出資する現物は、財産と認められるものでなければいけません。例えば、自動車、土地・建物などの不動産、株券などの有価証券、パソコンなどです。
Q2:現金のみの出資より現物出資は登記申請まで時間がかかりますか?
A:500万円以下の現物出資であれば、通常の現金のみの出資による会社設立と同様の時間で登記申請できます。500万円以上の現物出資であれば、別途複雑な手続きが必要になりますので、時間がかかります。
Q3:現物出資+現金出資は出来ますか?
A:大丈夫です。実際には、現金が不足しているので、資本金を大きく見せるために利用される方が多いようです。
例えば、現金200万+現物100万=資本金300万 といった感じです。
Q4:不動産を現物出資したいのですが
A:不動産を現物出資する場合には、「不動産鑑定士による鑑定証明書と弁護士や税理士による適正価格証明書」が別途必要になります。また、出資者と会社の両方に税金が課税されます。
ー出資者ー
出資者がその不動産を「入手した価格」より「高い評価額」で出資した場合、その差額が利益とみなされ、所得税が課税されます。
ー会社ー
不動産の新たな所有者となる会社には「不動産取得税」が課税されます。
Q5:現金があまりないのですが、やはり資本金は多い方がいいのでしょうか?
A:現在では小資本の会社も増えていますが、日本では、まだ、資本金の額で会社の信用を判断されやすい傾向にあるようです。無理して多額の資本金を用意するよりは、現物出資を活用することも考えてみてはいかがでしょうか。
現物出資による会社設立をお考えの方は是非お気軽にご相談下さい。